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3430 重力さっかく |
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●ためしてみよう
傾いた部屋に入り、ベンチに座ったり、はしごに上ったりしてみましょう。思うように歩いたり、立ち上がったりできません。
斜めの台の上で丸いものを転がしてみましょう。低い方から高い方へ転がって行くように見えます。
この部屋に入ると、人が斜めに立っているように見えたり、窓の外の景色が傾いて見えたりします。これは、わたしたちがふだん、床は水平、柱や壁は垂直の部屋で生活しているため、経験的に間近に見える床や壁はそれぞれ水平、垂直であると判断していることによります。一方、耳の奥にある三半規官ではいつも実際の重力方向(上下)を正しく感じ取っています。この部屋は全体が水平に対して15゜傾いているので、この部屋に入ると、目から入った上下方向とからだで感じる上下方向にくいちがいが生まれ、歩いたり座ったりするときに頭の中で混乱を起こし、思うように動けなかったり、気分がわるくなったりします。
斜めの台の上でボールが低い方から高い方へ転がるように見えるのも、台の傾斜を床や壁を基準に目で判断しているためで、実際には低く見える方が高くなっています。
宇宙飛行士が宇宙空間で経験する宇宙酔いも、視覚と平衡感覚の混乱などによって起こる乗り物酔いの一種と考えられています。重力の条件が地上と異なるのでいろいろな角度から研究が進められています。